ジョージアでの公演は、和太鼓アンサンブルとジョージア国立バレー団とのコラボ作品。
ヨーロピアンな素晴らしいトビリシ・オペラ・バレエ劇場にて、2日間満員御礼の大盛況で幕を閉じました。
レナード衛藤氏(以下、レオさん)はじめ、坂本雅幸さん、山内利一さん、吉村靖弘さん、そして金子竜太郎の5名。
太鼓、チャッパ、笛、三味線のアンサンブルで臨んだ、竜太郎的に43カ国目となるこの国での公演について綴りたいと思います。

きっかけ
そもそも30年も接点がなかったレオさんと共演したのは何故なのか。
それはひょんなことがきっかけでした。
ちょうど1年前の去年11月にご招待いただいた鼓童の東京公演のロビーで、ばったりレオさんと坂本雅幸くんと出会いました。
雅幸くんは僕が独立するときに準メンバーで、その後フロントマンとして活躍。
現在はソロ奏者として活動中です。
この歴代フロントマン経験者が「お茶する?」ということで近くのカフェへ。
そのときの「いつか一緒にやっても面白いかもね」という話が、現実のものとなったわけです。
何がきっかけになるかわからないものですね。

ジョージアへの道
まず30年ぶりの共演は、2022年3月。
レオさんと鼓童の中込健太くんとの
トリオでした。
そして、7月に今回の5人で新宿にてライブ、、、からのジョージアとなったのです。

この7月のライブは、レオさん曰く「ジョージアを見据えてのキャスティングだった」とか。
いろいろ紆余曲折あったようですが、このメンバーに落ち着いたとのこと。
ただ、コロナやウクライナのことがあって、ぎりぎりまで実現できるのかわからない状況。
加えて様々な制限の中、締め太鼓は使えないことになり、桶胴の平太鼓で代用することに。
コラボ作品の楽曲に、締め太鼓が中心的な役割を持つ「千里馬」がある中で、この楽器のチョイスは苦渋の決断だったのではと思います。

また、フィナーレ曲の「族」で通常使われる平胴大太鼓や長胴太鼓もありません。
演奏者としては、持っていける楽器での対応方法を本番ギリギリまで探りました。
チューニングはもちろん、他の楽器とのコントラストや全体のダイナミズムをバランスするのに、いろいろ工夫が必要でした。
そして合わせて10個口からなる、これら楽器や台類とともに、いざジョージアへ向かいました。

ジョージアのいろいろ
日本ではジョージアの情報はあまり多くないですよね。

- 面積→日本の約5分の1
(北海道より少し小さめ) - 人口→約400万人
- 首都→トビリシ
- 民族→ジョージア系が8割以上。他にアゼルバイジャン系、アルメニア系、ロシア系など
- 宗教→ジョージア正教(キリスト教)

5世紀に創建。13世紀にモンゴル軍による破壊後、再建。
ロシア帝国時代には監獄に ( >人< )
公用語はジョージア語。
言語学的に特殊でユネスコ無形文化遺産に登録されています。
文字は紀元前3世紀に普及したジョージア文字。
丸っこくて可愛いい。

右は英語、左がジョージア語。
ちなみにパントマイムアーティストの「が〜まるちょば」は、ジョージア語の「こんにちは」。

香辛料がほんのり効いて美味!
食は日本人に合いますね。どのお料理もとっても美味しかった〜!
そしてワイン発祥の地と言われるだけあって、「美味しい〜!」と言いながら、お酒を飲まない僕以外のメンバーは楽しんでいました。
世界で流行しているらしい「オレンジワイン」の産地でもあります。
でもオレンジで作ったわけではなく、その色が名の由来。
白ぶどうを赤ワインの製法でつくり、白ワインのような香りと、赤ワインのような渋味と苦味を併せ持った飲みごたえのある味わいとのこと。

夢の中の日本
さて、今回の公演は、日本とジョージアの外交関係30周年記念の関連事業。
劇場も豪華絢爛な素晴らしいところでした。

第1部は、我々演奏者のみのステージ。
ソリスト5人で構成された”レオ・クラシックス・アンサンブル”のメンバーそれぞれの持ち味が活かされつつも、7月にライブを経験したアンサンブルの妙も楽しめるバリエーション豊かなパフォーマンスでした。
第2部は、バレエとのコラボ作品「Dreams About Japan(夢の中の日本)」の再演。
初演時の主役は、今回共演したジョージア国立バレエ団の芸術監督であり、元ボリショイバレエ団のプリンシパルであったニーナ・アナニアシビリさんでした。

初演は1998年、実に24年前。
そのころ竜太郎はツーブロックにしたロン毛を後ろで結んでました。

さすがに当時の楽曲の記憶はほとんどございません。(笑
2人バージョンにアレンジした千里馬とか、特に3分間におよぶ当時のチャッパソロを再現するのは、なかなかハードでした。
太鼓アンサンブルのみのパフォーマンスとコラボを合わせると実質12曲。
日本で3回リハをやったものの、現場では会場の響きを確認しながら、大胆なアレンジングやフレージングなどの調整が必要でした。

しかし、幕が上がれば一流のダンサーたちのしなやかな緊張感と繊細かつ躍動感あふれるパフォーマンスに呼応したグルーヴが引き出されて。。。
リズムと身体性のマッチングを常に意識する太鼓打ちとしては、ダンサーの肉体からのインスパイアは絶大。
これが異種コラボの醍醐味ですね。

旅を終えて
久々の海外公演でしたが、一つの公演を実現するのに実にさまざまな方々の力と想いが集結しているのを改めて実感しました。
その一つは、毎日届けてくださった在ジョージア日本大使館のシェフのお弁当。
とっっっても美味しかったのですが、魂込めてる感があって、ホントにタイトなスケジュールでしたが、食材の栄養以上のエナジーをいただき、心豊かに演奏に打ち込むことができました。

鋲、金輪、バチの木目まで、驚きの精巧さ!
在ジョージア日本大使館の今村大使、職員の皆様(担当官の杉中さんの熱いサポートは心強かった!)、協賛くださった企業様、劇場スタッフなど関わってくださった皆様とご来場くださったお客様に心から感謝です。
そして、ニーナさん、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたダンサーたち、レオさん、雅幸くん、利一くん、吉村やっさんに感謝です。ありがとうございました!
