太鼓って、あんなでかい音なのに、演奏中聴いているようで意外と聴けてないかもしれません。
むしろ、でかいから聞こえてしまって聴けなくなっているのでしょうか??
聴く力を磨くことから

アンサンブルとは、まず聴くことから始まります。
だからこそ、音楽以前の3つの力を研ぎ澄ますことが、音、響き、そしてアンサンブルの質を上げる根本的な秘訣となるのです。
3つの秘訣〜それぞれの力とは?
アンサンブル超基礎の秘訣となる
3つの力とは、、、
- 聴く力(Input-傾聴力)
- 味わう力 (Hold-熟成力)
- 応ずる力(Output-対応力)

この3つの力は、歌舞伎の稀代の女方で人間国宝である、坂東玉三郎さんがよくおっしゃっていた、演技に関するお話とぴたりとリンクします(と勝手に思っています)。
演技をする、つまり感情のリメイクには、3つの過程;
坂東玉三郎
「感受」「浸透」「反応」が必要なのです。
和太鼓アンサンブルの楽曲は、お芝居のように、出来事やそこから発する感情を具体的に表現することは少ないかと思います。
しかし本質的には通づる部分もあると思っています。
「本質的」とは、人間が何かの行動をとるプロセスです。
人が行動をとるプロセス
たとえばお腹をすかした人が、焼肉の匂いに誘われ店に入る、という一連の出来事があったとして、その人はどんな内面のストーリーを行動に表していったでしょうか。
遠くから風に乗って焼肉のいい匂いがしてくる方向目指してふらふらと歩き出す(少し速まる♩=100)。
鮮やかな色彩の肉が焼けていくときの色の変化、小気味の良い音、立ちのぼる煙、タレと絡む旨みのある味、しっかりした歯応えと溶けていくような舌触り、、、。
もうたまらず小走りになっている(♩=160)。
向こうに見えた看板をめがけて走り出し(♩=240)
のれんをくぐる一瞬の動作ももどかしく、吸い込まれるように焼肉店に駆け込んだ。
単純で簡潔なストーリーですが、まずは前提が空腹ですから、焼肉の匂いを敏感に察知します。これが「聴く力ー傾聴力」が高い状態です。
次に嗅覚からの情報のみであるのにもかかわらず、視覚、聴覚、触覚、味覚まであらゆる感覚が発動されてリアルな妄想が爆発します(笑。これが「味わう力ー熟成力」が高い状態です。
そして「とにかく食べたーい!」という生理的欲求、「早く焼肉屋に着きたい!」という心理的反応、さらに身体的反応として、とぼとぼ歩きから店に駆け込むまで、歩くテンポをどんどんアッチェルランド(加速)していきます。これが「応ずる力ー反応力」となります。
入ってきた情報をどのように受け取り、自分の中でどんな膨み方をして、どんな行動に至ったのか、というプロセスに自覚的になることで、玉三郎さんがおっしゃる「感情のリメイク」、つまり「表現」を始められるのです。
アンサンブル・ワークショップ
先日のアンサンブル・ワークショップは、月1回、3連続で行われる第1回目でした。
実際ワークでは、ビフォー・アフターの変化が予想以上で、僕自身驚きでした。
いつものスタジオの太鼓が、こんなに響くのかとびっくりです。

「3つの力」それぞれを各回のワークでフォーカス。
聴く力をベースに、それぞれの力も磨いていきます。
バチさばきの練習とは違うベーシック・トレーニング。
だからこそ別次元へと行けるのです。
このアンサンブル・ワークショップでは、太鼓の本来の響きを聴き取る力を養い、他の参加者とのアンサンブルをより深いものにしていく方法を学びます。
受講者の声
✅ 初めての気づきがいっぱいでした。
✅ よく太鼓で息を合わせるとか心を合わせるとか抽象的な言葉があるけど「これなんだな」と思った。
✅ 「合わせる」ことは今まで薄氷を踏む感じだったのが、お互いの信頼感があって全然違った。
✅ 傾聴を意識することで、音を出す向かい方が一段変わった。
✅ いつもより周りの音がすごくよく聞こえた。日頃聴いていたつもりでも、聴けてなかったことがわかった。

Information
3連続ワークショップ(1回目は終了)ですが、単発参加OKです。
原則として太鼓経験6ヶ月以上の方、どなたでもご参加いただけます。
開催日時
8月6日(日)16:30-18:30
9月3日(日)16:30-18:30
場所
ヒビカス横浜
