フリージャズのパイオニアの一人と言われる
ミルフォード・グレイヴス。
2021年2月12日 逝去。
享年79歳。
「ドラマー、パーカッショニスト、音楽名誉教授、
研究者/発明家、視覚芸術家/彫刻家、
庭師/ハーバリスト、そして武道家でした。」
出典 Wikipedia(英語からの翻訳)
80代、90代の彼を観たかったが
残念でならない。
*
彼の音楽は、いわゆる
「キャッチー」とか「カッコイイ」
とか言われるようなものでは
ないかもしれない。
しかし、強大なうねりに没入し
宇宙の根源に引きずり込まれる
ような感覚になる。
ミルフォードの音楽はいつも
「向こう側」に在ると感じる。
*
彼の音と動きは、何がそうさせているのか。
それを知りたくて、NYに行く度に
彼にコンタクトを試みて、少しずつ
交流を深めてきた。
ある時、彼は自宅に招いてくれた。
庭で育てた何種類ものドライハーブが
吊るされた部屋で、音楽や太鼓の話、身体の話、
自然との共生、武術の話などなど、いろいろな
話を交わしたことは、本当に楽しかった。
*
1999年、5年越しのラブコールが実り
念願のアース・セレブレーションへの
参加を受け入れてくれたときは、とても
嬉しかった。
でもまさかのお誘い。
「一緒にやろう。」
彼からみたら赤子同然の僕が
一緒やる自分のふてぶてしさも
なかなかだ。
リハはサウンドチェックのみ。
本番では
「先に演ってるから
いいときに入ってきな。」
と。
彼は赤子の手をヒネるような
ことはぜず、しかし手を引くこともせず、
こちらの能力限界点あたりで立ち止まる。
近づいたらまた離れていく。
そうこうしてるうちに「向こう側」に
誘ってくれたように思う。
この厳しさと優しさ。
僕にとっては紛れもなく
マスターであり師匠であった。
*
「心臓の鼓動がリズムの源だ」
「ドラムで心臓のリズムに影響を与える
可能性を研究しているんだ」
そんな話をしてくれた彼の
少年のようなキラキラした瞳が
忘れられない。
親愛なるミルフォード
ありがとうございました。
お疲れさまでした。
また会いましょう。
また演りましょう。
また教えて下さい。
合掌
※画像 amass.jp様よりスクリーンショット