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鼓童ミチカケ

鼓童 “ミチカケ”

鼓童ミチカケ

本質に向かうテーマ

鼓童の新作舞台“ミチカケ”。
千葉市民会館で拝見しました。

響きや音色そのものを見つめ直す

という、わりとマニアックなことがテーマの一つ。

賛否が分かれるのかもしれませんが、竜太郎的には好きな分野なので、すんなりと楽しめました。

こういうテーマも鼓童の表現の一つのチャンネルとして、ちょっと探究してみてほしいなぁ〜という、
いち鼓童ファンとして勝手な希望や考察を少しマニアックに(笑)綴りたいと思います。

なぜ「響きや音色そのものを見つめ直す」ことに僕が肯定的かというと、それは本質に向かうものなので、エンターテイメントや土着性にも活かされることになるからです。

祭りと地球と太陽と

本公演の音楽監督である住吉佑太くんのパンフレットにある文の一部

土着性を排除したとき、無限の超自然的な宇宙を感じる瞬間があります。(要約)

というのは、わかる気がします。

人間の営みは、宇宙のサイクルに沿うことで「祭り」や「祀り」となり、結果として土着の郷土芸能になっています。

鼓童の「屋台囃子」のルーツ“秩父夜祭”
鼓童の「屋台囃子」のルーツ“秩父夜祭” 
Photo:秩父観光協会Hpより

祭りには、神話や英雄伝などいろいろありますが、種まきや収穫の季節、月のミチカケなど「暦と生活」を関連づけた祈願や感謝のためのものが多くあります。

要するに地球に対する太陽や月との関係に沿っています。

けれど所詮それも太陽系の中の話し。

「無限の超自然的な宇宙」

というならもっと超越的な深淵な世界観ですよね。

太陽のような恒星は天の川銀河に2,000億〜4,000億個。

銀河は宇宙に2兆個。

さらに宇宙は複数存在するという説まで。。。

そんな話を聞くと宇宙を生み出す本質である「何か」を感じずにはいられません。

天の川
太陽系は天の川銀河を秒速240kmで公転。
2億5千万年ほどで一周する。

大宇宙と小宇宙の共鳴を聴きたい

彼があえて「土着性を排除」したのは、土着性が生まれる基礎である太陽系との兼ね合い、さらにその太陽系や銀河など物質宇宙が生まれる原因となる、遥かな本質の「何か」へのストレートな希求だったのかなと。

それは本質だからこそ存在する全てに、もちろん私たち人間一人一人にもホログラムのように内在しているはずです。

外に広がる大宇宙と内に凝縮された小宇宙が共鳴する響き。

それを聴いてみたい、、、

ということだったように感じました。

このアプローチで探究するなら、舞台表現にも様々な切り口が現れます。

パフォーマーのマインド

打てば響く太鼓は、たしかに誰でもドンと鳴る。
そこに深みをもたらすのはなんでしょうか。

それは何よりもパフォーマーの心技体のあり方です。
ここでは心技体のうち、心の側面についてのお話しを一つだけしましょう。

例えば、パフォーマーが「演奏しながら円になって回る」という演出。
音源が移動することで、音空間もより立体的に感じられます。

打てば響く太鼓を叩きながら、ただ動いても確かに3次元なのですが、ここでマインドです。

演奏技術ではできない表現

舞台の板の上の「平面を動いている」というマインドだと、動作も膨らみのない2次元的なものになって、音もそんな感じになります。

これを3次元で捉えると、単なる円運動ではなくなり、音も立体的になるものです。

また、回る方向の違いでエネルギーが異なることに気づくかもしれない。
エネルギーの変化は心の変化を生みます。


例えば心が高揚すると目には見えない上下のベクトルが生まれて、前後左右の平面に「高さ」そして「密度」の表現が加わるのです。
もちろん高揚とは人情的な感情ではなく、もっと根源的なものとなるでしょう。

こういったことが意図された演出や音楽があったとしても、最終的にはパフォーマー自身のマインドの広がりがなければ、十分に表現されることはありません。

逆に、たとえ練習曲であってもパフォーマー次第で「表現」にも仕立て上げられるということです。

心技体のうちの技(演奏技術)や体(通常の身体トレーニング)だけでは実現できない世界ですから面白いですね。

平面の円から立体の螺旋へ

円になって回る演出の曲が進行して、再び回り始める動作になった時も、なぜ繰り返されるのか、その意図を汲み取ってどのように振る舞うべきか理解したらどうでしょう。

それは見た目では同じところを回っていても、例えば徐々に高いエネルギー状態になれば立体としての螺旋を描くことになるわけです。

そして心の変化はカラダにも影響します。

結果的にマインドから音に影響を及ぼすことになるのです。

ミチカケしながら地球とダンスするように
揺らぐ月の軌道。
ミチカケしながら地球とダンスするように
揺らぐ月の軌道。
ちなみにこれは2022年12月の動き。

源への道のり

「響きや音色そのものを見つめ直す」とは、どこまで追求するかによるけれど、音のエネルギーや音霊(オトダマ)といわれるスピリット、さらにその源となる「本質」へと続く道のり。

演出、音、そして演奏者の身体コントロールやマインドなどを探究することで、さらに味わい深い太鼓音楽を聴かせてくれるのでは、と期待してます。

そんな可能性を感じた舞台。
良い響きを体感させてもらいました♪

ところで、出演者全員が研修所で指導をしたメンバーでした!

ついにそんな時代か。感慨深いなぁ~。

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